尻焼温泉

高崎線の事故により列車遅延にもかかわらず、大宮駅で所定の電車に4人が揃い、高崎駅で乗換えて吾妻(あがつま)線・長野原草津口駅に降りる。
バスで花敷(はなしき)温泉まで行き、迎えの車で尻焼(しりやき)温泉・関晴館(せきせいかん)に入る。川の底から湧く大露天温泉に入ることが目的だったので、さっそく行ってみることにした。脱いだものを入れておくための手提げ籠を宿から借りる。5分ほど歩くと川(長笹沢川ながざささわがわ)があって橋を渡る。橋から川を眺めると石がどれも赤い。これは上流に国内第2位の生産量を誇っていた「群馬鉄山(現 チャツボミゴケ公園)」(昭和19年~昭和40年)があり、流れ出た鉄分のせいとのこと。渡ってすぐ“露天風呂”の看板から川原に降りる。川幅いっぱいに二つの堰が設けられており、その堰と堰の間の川底から湯が湧き出ている。皆いかにも楽しそうに見えた。川に入ると川面は結構熱かった。川の水量によっても湯温は変わることになる。川底の石はぬるぬると滑りやすく移動するのに注意を要する。はたから見るほどゆっくり楽しむというわけには行かなかった。雨の後など水量が多いと入れないこともあるそうなので入れて幸いであった。上流側の堰の先には“おたまじゃくし”が泳いでいたのもご愛嬌。夕食の前に宿の露天風呂にも入る。川に面した石つくりの大きな風呂で、澄み透った柔らかい温泉を、ゆっくりと楽しんだ。泉質 カルシウム・ナトリウム・硫酸塩・塩化物温泉。寝る前にまた露天風呂に入る。

翌朝、起き抜けに階段を下ったところのもう一つの露天風呂に入る。また花敷温泉まで送っていただく。快晴のなかバスで野反湖に行く。野反湖は長野県との県境にあり周囲10km、標高1,513mの南北に細長いダム湖で、その湖水は魚野川から信濃川に合流し日本海にそそいでいる。上信越高原国立公園の特別地域および自然休養林に指定されている。野反湖周辺は高山植物の宝庫だそうで、この時期 野反湖の南側 富士見峠(野反峠)の近くがシラネアオイ(*)の群生地であるとのことでそこに降りた。峠からは浅間山などの山並みが見える。峠から野反湖を眺めると、抜けるような青空に真っ白な雲が少々、湖面の青と周囲の山や木々の緑が綺麗だ。そばの八間山登山口から登り始めて後を振り返ると峠では見えなかった草津白根山が近くに見えた。ちょっと登って案内板を左に曲がり、10分程進むと斜面いっぱいに想像を超える群落があり、ちょうど見ごろでもあり堪能した。さらに植栽整備を広げているようである。峠に戻ってから1人を留守番に3人で野反湖の湖畔まで降りてみる。静かな湖面に釣り人が二人、糸を垂れていた。思いがけず高原のハイキング気分を味わう。野反峠休憩舎で昼食を済ます頃にはだいぶ雲が出てきた。帰りのバスに乗って目が覚めたら長野原草津口駅だった。
大宮駅で下車し、魚介類の網焼きで一杯また一杯。満足した二日間であった。

(*)シラネアオイ「白根葵」
キンポウゲ科シラネアオイ族の多年草の一種。深山の植物。 日本固有の1属1種
北海道から本州中北部の日本海側にかけての山地帯で亜高山帯のやや湿り気のあるところに分布。高さ20~30cm。花期は5~7月ころ。花弁はなく7cmほどの淡い紫色の大きな萼片(がくへん)が4枚あり、大変美しい姿をしている。和名は日光白根山に多く、花がタチアオイに似ることからシラネアオイ(白根葵)と名づけられた。別名「山芙蓉(やまふよう)」、「春芙蓉(はるふよう)」ともいう。
(ウィキぺディアより)

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