勝沼

5月下旬、高尾駅に4人が集まり、中央本線・勝沼ぶどう郷駅に降りる。駅を出て左に線路沿いを行く。ぶどうの丘やぶどう畑、南アルプスの山並みなど眺めもよくプラットホームに見立てた屋根つきの休憩所まであり展望ポイントとなっていた。

そばの階段を上がるとすぐ大日影(おおひかげ)トンネルだ。煉瓦造りで線路もしっかり残っていた。明治36年に開通、特産のぶどうやワイン、樽などの輸送に大いに寄与したとのこと。平成9年に廃止、平成19年に遊歩道として整備された。30分ほどで通り抜けられた。通り抜けると深沢口トンネルがあり今はワインカーヴ(貯蔵庫)として活用されている。トンネル内をぶどう郷駅に戻る。戻る際下り勾配に気が付いた。

駅前のタクシーで“ぶどうの丘”に行く。ぶどうの収穫時期でもなく、平日でもあり人は少ない。売店の地下ワインカーヴに降り白、ロゼ、赤と試飲する(有料)。そこを出て近くの店に入り、“思蓮(おもれ)ほうとう”を食べる。ぶどうに多く含まれているポリフェノールが麺に練り込んであるのだそうだ。このぶどうの丘は“思蓮山(おもれやま)”と呼ばれていたとのことで名づけたそうだ。ぶどうの丘からのぶどう畑や山々の景色も緑がいっぱいで気分がいい。

タクシーを頼んで柏尾古戦場跡に行く。近藤勇ら幕府軍と板垣退助ら率いる官軍が戦ったところで、山梨県内では戊辰戦争での唯一の戦いがあった場所とのこと。近藤勇らは敗走した。ちなみに土方歳三は援軍要請に江戸に向かっていて参戦していないという。柏尾橋の側で、近藤勇の石像もあり、それなりに整備されていた。

そこからすぐの大善寺に行く。国道から右に入り脇道を行く。山の麓にある本堂(薬師堂)前に出た。この本堂は国宝で、すっきりと裾を広げた檜皮葺の大屋根が見事だ。本堂の前に菩提樹があり、ちょうど花が満開で、ほんのり甘い香りがした。木の下には丸太の椅子があり“瞑想してみては”との説明書き。大善寺はぶどう寺と言われており、平安時代初期のぶどうをもった大善寺本尊薬師如来像と日光・月光菩薩像は秘仏として厨子(国宝)に納められており拝むことはできなかった。厨子両脇の須弥壇上にある鎌倉時代の日光・月光菩薩像と十二神将立像は国指定文化財とのこと。元気いっぱいの女性が滔々と説明してくれた。拝観後、長い石段を下り山門を出て大善寺に入る。きょうの宿だ。大広間で冷たいお茶を飲みながら、のんびり休んだあと部屋に入った。

さっそくお風呂に入る。大きな浴槽で気持ちが良い。何故か上がり湯が出なかった。部屋で寛いでいたが夕食の頃合いになっても何の連絡もない。しびれを切らして食堂を覗くとすでに準備はできているようだ。よく見ると入口に食事時間の張り紙があった。食事をしていると、最前の元気な女性(どうも女将さんのようだ)が入ってきて“上がり湯が出なかったでしょう”と行って謝った。昼間の電気工事で電源が切れたままになっていたそうでおかみさんも我々も大笑い。寝る前にまた風呂に入ったが、今度はちゃんと湯が出た。 甲府につづく。

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