数馬の里ふたたび

梅雨に入ったあと各地は集中豪雨に見舞われ、明けると猛暑攻め、そして台風の到来、いまだ集中豪雨が続いている。関東地方が梅雨入り宣言のあとすぐ、雨のなか4人が立川駅に集まった。南秋川上流の檜原村は数馬の里(兜造りの大屋根の家が散在する)が目的地だ。その前にバスで立川市役所近くの国立極地研究所 南極・北極科学館に行った。土砂降りのなか昭和南極基地の犬橇犬たちのお出迎え。館内は六つのコーナーになっていて、見どころは南極・北極オーロラの同時実況画面、直径4mの全天ドームスクリーンによるオーロラシアター、昭和基地から南極点に到達した大型雪上車、昭和基地周辺の様子の生中継、南極、北極の生き物など。現地で採取した南極の氷にも触れることができた。南極点到達雪上車は実際に乗り込むことができ、その生活ぶりの一端が窺えた。そしてこの雪上車は2014年度機械遺産(※)に認定された。
立川駅から武蔵五日市駅に、さらにバスで約1時間 終点”数馬”に降りる。あいかわらずの激しい雨だ。バス停近くの宿“山城”に逃げ込みやれやれ。この宿は古くは民宿であったが平成21年より1日2組限定の旅館としてリニュアルオープンした。大きな木造2階建てで、この築400年以上の建物は平成23年、国の登録有形文化財に登録された。この山城には平成7年の秋に訪れていた。その時“数馬の里発祥の家”の看板に引かれ庭を覗き込み、ちょうど割烹着に姉さん被りのおばあさんが出てこられ、これ幸いと声を掛けてお話を聞き、土間に入りこみ居間なども見させていただいたことがあった。

今回は落ち着いた部屋に通された。すこし休んだあと、この部屋専用のお風呂に行く。薪で沸かしているとのことで柔らかく湯温も心地よく長湯した。天然鉱石(ラジウム、ゲルマニウム、他)が入った鉱石泉である(天然温泉ではない)。効能は皮膚病、ストレス、冷え症など。夕食は山菜と川魚が主体で、いろどりや量、味など満足。部屋にもどり静かに話し込んだ。布団に入ったが雨が気になってなかなか寝付けなかった。
翌朝、まだ激しい雨。朝食を済ませ部屋に戻ると電話があり“今日はバスが終日運休になった”との連絡。雨量が規定値を超えたのだそうだ。もう一泊するならと好意を示されたが返事をためらった。ふたたび“今ならタクシーが来てくれる”との電話があり即座にお願いした。タクシーが走り出すとホッとした。
武蔵五日市に着いたころは小降りになっていたが交通機関の乱れも心配で素直に帰ることにした。八王子駅近くで昼のあと子安神社を参拝し京王線に乗ったが、なんとなく別れがたく新宿で軽く一杯やった。さすがに盛り上がりに欠けた。
この二日間、青梅、奥多摩、檜原村一帯は集中豪雨の真っただ中であったのだ。

(※)機械遺産とは一般社団法人日本機械学会が機械技術の発展に貢献したとして 認定した日本国内の物件。(ウィキペディアによる)

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