奥秩父中津峡

とまりぎ

2013.05.09

昨年11月の初め 西武池袋線池袋駅の改札に5人が集まった。奥秩父・中津峡が目的地だ。中津峡は約10kmに亘り、100mの断崖絶壁が続く渓谷で、埼玉県の名勝地にも指定されている紅葉の名所である。

池袋駅から飯能を経て西武秩父駅に降りる。数分歩いて秩父鉄道の御花畑(芝桜)駅に、そこから終点の三峰口駅に昼過ぎに着いた。とまりぎの旅行としては両鉄道とも初めてである。三峰口からは西武鉄道バスで三峰山のふもとを通り中津川沿いに1時間少々。終点の中津川バス停に降り立つ。この先は三国峠に至る。もうそこは今日の宿“こまどり荘”だ。あしたは渓谷沿いに紅葉を鑑賞しながら相原橋バス停まで歩く計画だ。天気は晴れており上々、紅葉の真っ盛りであった。
 宿の本館は大きなドーナツ状の建物で中庭が吹き抜けとなっている。本館の前に広い広場があり、その一角に森林科学館が建っている。今回は和風コテージを予約した。鍵を受け取りコテージに向かう。すぐ右手に中津川が流れている。コテージは川沿いにあり眺めはよい。部屋は寒く、さっそく暖房を入れる。部屋の様子を確認したあと散歩に出かける。ふれあい橋という吊り橋を渡り山道に入る。この辺りは“彩の国ふれあいの森”で手ごろな散策の道が整備されている。山道を下流に行き、ふたたび川を渡って森林科学館を見学、コテージに戻った。夕食の前に本館1階の温泉に入る。この温泉は大滝温泉・三峰神の湯から運んでいるそうで、泉質ナトリウムは塩化物泉(PH8.4の弱アルカリ性)。夕食は本館2階の木組みのラウンジ。ゆったりとしたスペースで落ち着いた。コテージにもどり畳に布団を5つ並べて敷き、あとは酒盛りとなった。

今日も青空。川沿いの遊歩道を下る。山草園、中津川竜神水(湧水)の脇を通り、キャンプ場を抜け、吊り橋を渡ってバス道に出る。しばらく行くと中津川集落に入る。ここに“源内居”と呼ばれている平賀源内が設計施工した建物がある。“幸島家のもので、推定約2百年前に建築された。源内はこの地で鉱山開発のため永く滞在し、執筆もされたと伝えられている”との案内板。残念ながら外から眺めるのみであった。ちょうど“大滝紅葉まつり”で集落の人により、おにぎりや農産物などが売られていた。さらに歩く。神流川との出合いでは素晴らしくきれいな紅葉の景色がありしばらく鑑賞した。持桶(もちおけ)トンネルを迂回する脇道に入る。途中昼休憩をとった。宿の自販機で仕入れた缶酎ハイと、宿のおにぎり弁当だ。脇道の尽きるあたりに多くの人が集まっていて、見事に色づいた大きなモミジにカメラを向けている。持桶女郎モミジといって人気の撮影スポットとのこと。バス道をさらに進む。仏石山鍾乳洞に行く予定であったが、山道がくずれ進入禁止の標識で残念。下調べ不足を反省。仏石山トンネルにも脇道があり進む。相原橋バス停には予定より1時間以上も早く着いた。バスを待っていると早くも陽が影ってき、予想外に寒かった。

三峰口駅に着き、土産に特産の漬物“しゃくし菜”を買う。電車はちょうど池袋行きの直通がありラッキーであった。池袋駅東口に降り“くいもの屋わん”で乾杯した。