明治温泉

とまりぎ

2007.12.26

奥蓼科の明治温泉が目的地で、この春に行った唐沢鉱泉に近い。直前に2名が参加できなくなり3人旅となった。高尾から小淵沢で乗り継ぎ茅野まで、いつもの普通列車による飲みながらの旅である。春にも入った茅野駅前の"そば茶屋"で熱燗と「葉ワサビせいろ」の昼、ここの蕎麦は冷たくキリッと締まっていて美味しい。タクシーで横谷渓谷入口に着いたのが1時過ぎ。渋川沿いの横谷渓谷(横谷峡)は紅葉の名所で遊歩道が整備されている。明治温泉はその入り口から3キロほど遡った横谷渓谷のおわりにある。

車道を行くと木戸口神社があり手を合わせる。神社から渓谷に降りはじめて直ぐに乙女滝があり、名に合わぬ勢いで水しぶきをあげていた。渓谷に下りてから横谷温泉を通り、霧降の滝、鷲岩と歩き、そこから渓谷をはなれて道を登り王滝の展望台を経て渓谷のおしどり隠しの滝と歩いた。霧降の滝、王滝、おしどり隠しの滝は渋川の流れの滝で特に王滝は堂々としたものである。渓谷沿いの木々はもう葉がすべて落ちた梢のみだ。ぬけるような青空と透明な冷たい空気が気持ちよい。王滝展望台への階段の登りは急で、酔いも手伝い息をはずませたものだ。おしどり隠しの滝のそばが明治温泉で3時過ぎに到着した。このあたりはごくごくうすく雪が残っていた。宿のロビーは大きな薪ストーブが焚かれ暖かい。宿では河原に人工的に霧を吹き上げていて、氷柱を造って12月25日からライトアップするとのこと。

温泉に入る。源泉の冷泉(24℃)、ぬる湯、熱めの湯がある。ゆっくり入れるぬる湯がよい。無色透明の鉄炭酸泉となっているが、口に含んでみると鉄味は感じたが炭酸味はしなかった。ろ過していないぬる湯の浴槽周辺は錆色になっている。渋川の流れの底も錆色である。効能は神経痛、リウマチ、胃腸病、冷え性、婦人病など。夕食のあとも湯に温まり早めに寝たが、夜中の1時過ぎにめずらしく三人とも目を覚まし、また湯に入った。

昨夜少し雪が降ったようだ。朝食の時、見ず知らずのお客さんから熱燗の差し入れがありいい心持となる。きょうも渓谷を引き返し、きのう行かれなかった横谷観音、屏風岩を観ることにした。道は下りで、落ち葉のクッションに足取りも軽い。王滝を過ぎて尾根筋にある横谷観音に向かう。この登りも結構なものだ。登りきると広い展望台がひらけ眼下に王滝が、遠くに茅野市街、さらに遠く北、中央、南アルプスの山並みが見えた。展望台の一画に横谷観音堂があり木彫りのすらっとした聖観音が安置されていた。観音堂の先を行くと国道299号で麦草峠に通じている。渓谷の道に戻ると王滝の近くまで行ける河原道があったが時間がなくあきらめる。屏風岩はこれも冬場すだれ状につららがつく氷瀑が観られるそうだがまだ少なかった。横谷渓谷入口からバスで茅野駅に出て、また普通列車でカップ酒。甲府に途中下車し5年越しで完成した甲府城址に登る。甲府市街の向こうに富士が頭を出していた。甲府からはポケットウイスキー。すっかり暗くなったころ立川に降り、駅ビルにある立川中華街で乾杯した。