番外篇(小田原)

とまりぎ

2006.7.29

梅雨の最後の季節に、小田原から出る大雄山線の終点近く、和田河原駅へ行くこととなった。夏の暑さのなか、朝10時前にはすでに数名が到着していた。予定時間の電車に残りの参加者が乗っていなかったため、地理に詳しいひとりが残ってくれて、全員歩き始めた。東京都異業種交流プラザの見学会に、総勢12名が富士フィルムへ行くところである。
 
 今年3月に退職された方が前回の会へ参加し、入会を希望していて今回の見学を計画されたのである。最初に案内された部屋に、待つ間もなく全員がそろった。1934年から足柄工場が活動してきた歴史から説明があり、工場全景の写真をみると、その広さに驚く。隣接の山林に水源があり、フィルム製造には大量のきれいな水が必要であったようだ。
 製造工程の見学は、「写ルンです」だけを見ることになった。1990年から回収しリサイクルを始めたということだから、すでに15年の実績がある。全数検査し徹底的に再利用できる部品は再利用している。他社の製品が交ざって戻ってくるものは、お互いに送っているようだが、問題はこの工場ではないところで、正式検査もなくフィルム交換だけをやってきた物、とくに外国での違法物が多いようだが、これが混在しているとのことだ。
 説明から始まって工場見学まですべてで2時間弱、かなりゆったりした見学会だった。外へ出て、昼食のあとは予定になっているアサヒビールの工場へ行くことになっているが、まだまだ時間がある。そうとうゆっくりしたつもりだったが、見学の時間は予定より30分早くなった。

およそ50分の見学の最後に、期待通り出来立てのビールが用意してあって、最初にスーパードライからどうぞと言われ、まだ昼食からそう時間が経っていないのだが、普通サイズのコップ一杯をまず空にする。他には何があるかと見ると、プレミアムと黒が目に入ったので、これも一杯づついただく。そうこうしているうちに、次の見学者の一団が見学を終わって来たので、その場から退散する。
 夕方、小田原駅近くまで行くことになっているが、まだ時間があるのでタクシーで"あじさい"を見てから行こうということになった。山の上の最乗寺の参道は、まだ咲いているはずだが、行った南足柄市から開成町へ入ったあたりには道の両側にあじさいの木が見えただけで、この時期はすでに花が終っていて、ぐるっとまわって大雄山駅へ向う。別のグループは車を降りて、残っている花のところで写真を撮ったようだ。

小田原駅前の店に予約してあり、全員揃ったところで今回の見学会を企画していただいた元富士フィルムの方の入会を、形式だけの臨時総会にて了承。5時からの懇親会は料理が多く、7時前には出来上がって、この場所が小田原だということを思い出し、早々に帰途についた。朝早くから動き始めたものだからか、足柄という土地の雰囲気なのか、時間ゆとりがありすぎるくらいのんびりした一日が終った。