中野 章
2007.3.8
直近の日刊紙に日本商工会議所の「商工会議所の企業等OB人材マッチング事業」のOB人材登録を呼びかける広告が可成り大きいスペースで載っていた。
事業の趣旨は「経験豊富な企業OB人材」をして様様な問題を抱える中小企業を支援しようというものである。
大変結構な趣旨であり、特に2007年問題で象徴されるような大量の企業OBの定年退職が始まる時に時宜を得た事業であると云えると思う。
ところが広告文を読んでみると気になる表現が私には感じられた。
OB人材とは・・に始まる文章に「大企業や中堅企業、公的研究機関で豊富な実務経験やノウハウを有し、退職後も高い志をもって中小企業を支援しようとする人材です」とある。人材を大企業、中堅企業や公的研究機関出身者に限定しているかのような表現である。
現実の支援を求める中小企業で歓迎されるのは 「豊富な実務経験やノウハウを有し、退職後も高い志をもって中小企業を支援しようとする人材です」でOBの出身母体が大企業、中堅企業や公的研究機関でなくてもよい。むしろ中小企業出身者の方が目線が会って馴染みやすいと評価されている現状である。むしろ大企業のお偉いさん出身のOBは「顎を振って人を動かしてきた」気分が抜けきれず現場レベルで敬遠されるという実態が多いと聞き及んでいる。
さらに広告文に曰わく「中小企業経営の特質を理解し、企業風土等への順応性が高く、中小企業の目線でアドバイスできるOB人材を求めています」とある。
このOB人材像に一番近い人材は中小企業出身のOB人材ではなかろうかと思うのである。この広告文を作成した人は「大企業社員は優秀、中小企業社員はそれよりも劣る」という古い固定観念
があり、このような前後矛盾した文章を何ら違和感なく作成したのだろう。
是非一考して貰いたいと思う。