オモチャ病院

中野 章

2006.2.7

70才過ぎの数人のオジサンがそれぞれがオモチャを弄っている。オモチャで遊んでいるわけではない。オモチャを修理しているところである。

周りに心配そうな顔の子供と母親が自分たちのオモチャに取り組んでいるオジサンを囲んでいる。

やがて修理完了、見事に蘇生し動き出したオモチャを見てぱっと顔を輝かせる親子。ホットした顔のオジサン。

修理に手間取り、悪戦苦闘、最後になったオジサンもついに成功。時間がかかり心配も一入の親子も、それだけに喜びも一入。何度も何度もお礼を言いながら帰路につく。

これは調布市にある電気通信大学内の同窓会館での、或る土曜日の午後の一コマである。

元をただせば、このオジサンたちはこの大学のOBで電子関係の元技術者である。

仲間でオモチャ病院を開設、地域の子供たちのために、壊れたオモチャの修理を引き受けている。勿論ボランティアである。子供たちのはじけるような笑顔が報酬である。最近のオモチャは電子玩具が多い。それもますます複雑化しているようである。

故障したら普通のお父さん、つまり電子や、機構メカに暗い、では修理できなのではなかろうか?

そこでこのオジサンたちが昔取った杵柄を発揮するわけである。

動かなくなったらポイ捨てするのでなく、修理再生の道もあることを子供たちが学べば、これはこれで、素晴らしいことである。