メトロ博物教室--メキシコの街角にて--

中野 章

1999.8.1

 

メキシコの地下鉄駅にラ・ラサという駅がある。2つの路線が入り乗り換え客の多い駅で、乗り換え通路が長い。
 なんとこの乗換え通路がパネル展示の博物館になっている。通路の両側壁にメキシコ産の各種動物、植物、鉱産物の写真パネルを始め、先端技術の展示、数学、物理、化学等のモデル展示、通路天井は一面に星座が光っている。メキシコからみた星座であろう。

 

中でも筆者個人にとって若干の感慨をもたらせたのは、フラクタル図形のパネル展示で、その中にマンデルブロー博士の図形もあったことである。へー、こんなところで又お目にかかるとはという感じであった。
 通行人は毎日見なれているのか、さっさと通りすぎていたが、中に中学生とおぼしき一団が熱心に覗きこみ、メモを取っていたところを見ると、まさしく博物教室の役割をしているのだなと思った。
 日本ではこれだけの壁面面積があれば、多分広告ポスターで一杯だろう。