中野 章
1997.9.12
「老人と海」なる有名な小説がある(ノーベル文学賞受賞のアーネスト・ヘミングウェイ作)。私は近頃目にした情景からある感想と思い付きを述べてみたい。題して「老人とパソコン」
夏も終わろうとする週末土日の2日間、多摩市のコミュニティセンター広報部主催で「まったくの初心者向けパソコン教室」がもたれた。
講師陣およびお助けマン・アシスタントはそのコミュニティーセンターのパソコンクラブのメンバー有志である。
受講希望者はコミュニティー広報部で募集し、1クラス15名の2組計30名が午前午後に別れて2時間ずつ、計4時間の講習実技に挑んだ。
パソコン15台は富士通の好意で貸しだしうけ、その他の器材は市からの予算とメンバーの提供でまかなった。15台のパソコンをLANで結び、ISDNに接続した。
第一日目は日本語入力、ワードによる文章作成ー講習修了書を自分で作り印刷する。2日目はインターネットのさわりと好き勝手なサーフィングであった。質問の挙手や、立ち往生の様子が見えたらすかさずアシスタントメンバーが救助?にむかう。ともあれ2日間は過ぎた。手づくり教室としては成功といえるだろう。
さてこれからが本論。
受講者は女性男性半々。年齢平均60歳以上ぐらい?最高齢者80歳以上の人が二人。一過性の単なる好奇心を超えたところで、パソコンに触れてみたい、習得したいという意欲は全員から感じられた。
この意欲はどこから来るのだろう?
察するに昔の「読み書きそろばん・リテラシー」がいまや「パソコン・インターネット・リテラシー」に変わった、変わりつつあると人生経験が豊富なだけに感じているのではないだろうか? 動機はどうあれ、中高年者が「パソコン・リテラシー」を獲得するのは大変結構なことである。
大変結構だと考える私の愚見は
* ボケ防止に役立つ?今のパソコンは機能豊富だし、一つのことを行うのにやり方に何通りかのバリエーションがあり、適当に難しい。一つ一つこなしてゆくつもりなら、当分遊べる頭脳遊具だろう。
* パソコン通信、インターネットメールあるいはゲーム等を通じて交際交友の輪が広がる。高年者がともすれば孤立、孤独になり易い核家族社会でパソコン通信、E-Mail等の通信手段が使えれば、時空を超えた交際交友範囲が獲得できるだろう。ゲームで孫とうまく遊べる。それも孫がかなり大きくなるまで。
* ちょっとした小遣い稼ぎが出来る。ワープロ清書、データ入力等その気になれば、ご近所の商店、小企業に需要がありそうだ。
* 高齢者入門者に対するインストラクション街のあちこちにはパソコンスクールがあるけれど、高齢者にはちょっと敷居が高いのではなかろうか?「同じことを何度も姉さん先生に聞くのはどうもねー」とおじさん、おじいさんはつぶやくのです。
いっそのこと,入門者宅に出向いたり、来てもらって一対一で手ほどきするなり、インターネット接続を手伝い、上手くいったら祝杯をあげる、なんてのはどう?
事実多摩パソコンクラブのメンバー間では行われている。
ともあれ高齢者がパソコン・リテラシーを持つことは世界第一の高齢者社会に突き進んでいる日本にとって大変有益である。頭脳の健康が体の健康の基なら、呆け老人が減り、老人医療費が減るなら、その減った分を高齢者にパソコンを配給し(勿論只で)、インターネット代を只にする。。。というのはどうでしょう。鶏が先か、卵が先か?