柿崎 純一郎
2003.12.17
東京湾は荒川河口、若洲ゴルフリンクスの先に「風力発電所」ができています。石原都知事の肝いりで本年3月19日に竣工した、東京臨海風力発電所で、「東京風ぐるま」というニックネームもつけられました。
車ではお台場の臨海副都心から城南島にぬける海底トンネルの入り口付近から僅かに臨める程度ですが、ヨットや遊覧船でこの付近を通ると、たいていは海側に向かってゆっくりとまわっている2基の風車を間近に見ることができます。それぞれ高さ70メートル、ブレード(風車の羽根)直径52メートルと見た目より大型です。
残念ながら三菱重工、石川島播磨などの国産メーカー製ではなく、トップシェア企業、デンマークのヴェスタス社製で、発電出力は1基850KW、2基で年間250万KWhの発電量を計画しています。東京電力に売電していますが、これで約800世帯分の消費量がまかなえるということです。東京の電力自給率は6%と低く、都のエネルギー対策、地球温暖化対策の一環として建設されましたが、この程度の能力では実験的あるいは観光的意味合いの方が大きいかもしれません。しかしながら、首都でのこうした設備は例がなく、国際的にも注目されていますから、今後大都市内に設置する発電所の成功例となるよう期待しましょう。
我が国では青森県の六ヶ所村の風力発電所が最大で、3万3000KWを発電します。
日本全体では現在48万KW、03年度中に66万KWに増強し、2010年で300万KWの風力発電を目標にしています。
欧米ではクリーンエネルギーへの関心が高く、風力発電への意気込みは半端ではありません。02年末には世界全体で3000万KWが稼動し、そのうちドイツ1国で既に1000万KWを越す勢いです。米国、スペイン、オランダなども盛んで、カリフォルニアの砂漠やオランダの海岸沿いなどをドライブしていると、道路わきにおおきな風車が数十台も連なって発電をしている光景に出会います。ベルギーでも教会の搭などに登るとどこかに必ず風力発電所が見えました。単機出力も我が国の最大2000KWに対し、ブレード直径120メートル、出力5000KWの巨大風車が実用化されようとしています。
台風を初め、風向きや風速が絶えず変わる日本での課題は多いのですが、東京にかぎらず電力自給率(燃料自給率)の低い我が国では、風力発電の普及は欧米以上に重要です。