苗字

柿崎 純一郎

1999.2.12

 

私の会社に、旧姓「ぬで島」さんという女子社員がおります。木へんに勝と書い て「ぬでしま」と読みます(川島記;この字は見つかりませんでした)。初めてのひとはまず読めません。難しい苗字です。 結婚して、今では八田さんと呼ばれています。結婚で、なによりもうれしかった のは姓が変わったことだったそうです。鈴木知子さんという社員もおります。鈴 木さんも結婚して姓を変えたがっています。こちらはあまりにも平凡な苗字から 脱出したいからにほかなりません。(全国の鈴木さん、ごめんなさい‥‥。) おそらく、日本には彼女と同姓同名の人が数百人はいるでしょう。

 第一生命の資料によると、日本姓ベストテンは佐藤・鈴木・高橋・田中・渡辺・伊 藤・中村・山本・小林・斎藤の順。この上位10姓で全人口の10.3%になるとの ことですから日本のメジャーです。ちなみに、20位西村、100位野口、20 0位内山となっており、柿崎は770位あたりです。

 日本人の苗字を13万種まで数えた人がいますが、現在では20万種類ほどあ るのではないかと言われています。

 

角田」姓のように角を、スミ・ツノ・カク ・カドと読み、田は澄んだり濁ったりして読めますから、漢字の読み方のバラエ ティまで数えたらいったいどのくらいの苗字があるのか見当もつきません。
韓国の姓はたったの274種。2人に1人は金(キム)さんか、李(イー)さ んか、朴(パク)さんです。中国全土でも約5,000種、米国・欧州を合わせ ても6万種とのことですから、わが国の姓の多さは圧倒的です。
 そうは言っても、江戸時代末期までのわが国の姓は中国なみ、多くても1万種 を越えなかったのではないかと思いますが。

 維新後、明治3年の太政官布告により、それまで苗字を持つ事ができなかった 農工商の人々(平民)が、苗字を持つ事を義務付けられました。この結果、人口 の大部分を構成する階級の人々が一斉に、しかも使用する漢字も、読み方もほと んど制限なし、思い々々のアイディアで自分に苗字を付けだしました。さながら、 苗字生成のビッグバンと言って良いでしょう。こうして、わが国は世界一の苗字 大国になったのです。