柿崎 純一郎
2010.1.30
9月2日から同7日までの日程で、たちかわIT交流会主催の表記研修会に参加した。本会は立川商工会議所のワーキンググループのひとつ。交流会会長で訪問団長の東洋システム飯田社長、企画担当日本ソフトウエアの藤沢顧問以下一行8名。両国とも日本のODAで社会インフラやIT産業の開発が進んでおり、そのせいもあってか親日国。共産国でありながら政治的にも社会的にも安定している開発途上国として注目されている。特にラオスはわが国がODA資金の20%を負担するトップドナー、さらに会員企業には4名のラオス人社員がソフト設計者として就業していることなどから、訪問先として選ばれたもの。
ベトナムは首都ハノイが主な訪問先。JICAが支援するNPO法人VICが経営する日本語教室、ハノイ工科大学の日本語講座などをVIC阿部代表理事の案内で見学、学生達はそろって卒業後は日本のIT産業で働きたいと自己紹介。見学後に大学の国際協力学部幹部と会談、卒業生の採用を依頼された。勤勉ですなおな国民性は日本企業に歓迎されるはずだが、中国人・韓国人などに伍して働くためには日本語1級の語学力と日本で基本情報技術者試験に合格することが条件というこちら側の要望に、今後カリキュラムを検討するとのこと。
ベトナム最古の大学跡文廟付近にあるベトナム計画投資省も訪問、ここにはJICA派遣の日本人投資顧問市川さんが常駐、ベトナムでもっとも有名な日本人の一人である。
IT産業優遇税制ができ、市場規模は拡大中、顧問には1千万円以下の投資の決裁権が与えられているが、都市部でも電力や通信インフラが不十分、計画停電や通信費高で開業場所が限られること、技術者不足から離職率が高いことなどIT産業の課題も伺った。かの地ではハノイから南へ65km、途中1時間ほどむすめ船頭さんの手漕ぎの小舟で行くイエン川往復と洞窟の名刹香寺(チュア・フォーン)参り。フォーやミエンといったベトナム麺、ハノイビール・ルアモイ(焼酎)などを格安料金で堪能。道路を埋め尽くした2~5人乗りバイク軍団のバイタリティは圧巻でした。
一方、ラオスは人口600万人で、ベトナムの13分の1。打って変わって穏やかな町並み、IT産業は生まれたばかり。ビエンチャンの企業Belao社を訪問したが、全社員6名、筑波大修士卒の社長は33歳であった。ラオスのIT企業は10数社で全て10名以下、現在はPC販売とNET通信が主業務とのことで、これら企業からラオスのビル・ゲイツが誕生するかも知れない。日本企業も進出しているが現地企業はメコン川を挟んでほとんどがタイ経由で日本向けの仕事をしているとのこと。ラオス国立大学工学部も訪問、例のラオス人社員の母校である。交流会側から立川で活躍中の彼ら4人の近況報告があり、評価できる点、こちらからの要望、文化の違いなどをプレゼン。大学から貴重な資料として大感謝された。学内での昼食会、夜のメコン川ディナークルーズも定員50名ほどの大型船をチャーターして教授たちと一緒。是非、来年も来いと何回も乾杯、ビヤラオとラオラーオ(焼酎)、船のゆれで酔いが加速。料理も酒も口にあって、実り多い研修会であった。両国の日本に注ぐ厚い視線、海外進出や技術者雇用の相手国として、今後の発展を期待したい。
VCI: Vietnam Communication Initiative, JICA支援の日本語教育NPO法人
JICA: Japan International Cooperation Agency, ODAの実施機関
ODA: Official Development Assistance, 途上国に対する政府資金援助