柿崎 純一郎
2007.1.10
「大悲願寺」という真言宗のお寺が近くにあります。最寄り駅は東京の西部を走る五日市線武蔵増戸駅。例の仙台藩主伊達政宗が境内に咲く白萩を見て、後に、一株ほしいと書き送った手紙が残っていることで有名です。この花のお陰で東国花の寺百寺にも選ばれました。筆者の次女はお寺併設の幼稚園を20数年前に卒園、また、境内は愛犬の散歩コースのひとつにもなっていますから、なじみの寺と言ってよいでしょう。
毎年、大晦日の晩は寺の鐘が参拝者にも解放され、除夜の鐘を突くことができます。並んだ順に鐘楼に上がり、ゴ~ン。一人一回、108珠の大数珠を回して打った回数を数えますが、老若男女取り混ぜて例年参加者が多く、相当数がおまけで打たれます。うち終わったあとは焚き火とふるまわれる甘酒で体をあたため、正月の挨拶をかわしてから散会、家に戻ります。戻ってから夫婦で改めて熱燗で乾杯!あけましておめでとう、という次第。
東京を代表する古刹で、庫裏・本堂は改修済み、仁王門は古色蒼然で修理待ち。国の重文「阿弥陀如来三尊坐像」を納める観音堂は現在修理中ですが、萱葺き屋根が銅板葺きに模様替え終了。軒下周辺の彫刻や建具の色彩補修もまもなく終える様子で、この正月には新装お披露目が出来そうです。
3・4年前、このお寺にもうひとつ自慢が出来ました。四国八十八ヶ所霊場巡りを模した散策道ができたことです。1番霊山寺からの「発心の道場」に始まり、88番大窪寺「涅槃の道場」まで、境内から裏山に渡って道が続き、順に八十八体の石仏が配置されています。彫られている仏像はそれぞれの寺の本尊。石仏の下には各本場四国霊場の砂が納められているとのことです。ざっと見て回るのは別にして、ひとつずつ手を合わせ、お参りしながら一周すると、1時間以上かかりますから、お手軽遍路めぐりとは行っても、それなりの功徳があるかも知れません。初詣はここで八十八の本尊詣でをするつもりです。