今が好き♪
1997.6.2
家庭や会社の経済状態が順調でないときに使われたりする言葉。
もともとの意味はご承知のように、着物の左右のおくみ(前身頃)を逆に重ねて着ること。旅館などでゆかたを着る時、「あれ!どっちだっけ?」などと言って、前合わせを交互にパタパタする若い人を見たりするが、右手がふところに入るように着るのが正解(右前)と覚えておくとよい。
左前はこの逆で左身頃が下、右身頃を上に合わせる着かたで左手がふところにはいる。死者は何ゆえか左前に着物を着せられ、このため左前は忌み言葉になってしまった。この言い方は、両身頃の位 置関係を前述のように上下の関係でなく前後の関係でとらえている。左手がふところに入る着かたなので左前身頃が手前(自分に近い;こっち)、そして右前身頃が前になる着方である。
従って前後の関係で表現するなら左前でなく、「左手前」、あるいはこっちを「右前」と呼ぶ方が正しいと思うが、どう思います。
蛇足だが女性の洋服は左前に着ます。昔の外国映画では外人女性がよく左前で着物を着ていましたが、女物のガウンのつもりで着れば左前は当然なのです。
和服は生者、死者で合わせかたが違いますが、洋服の場合男女で違います。洋服の場合も何ゆえ男女で合わせかたに違いをもたせたのでしょうか。 私たち右前合わせの男性は右手にボタンを持って服を着、脱ぎます。それゆえ、向かい合った相手が左前合わせだと、相手のボタンも同じ右手で扱えることになり、女性の服の脱がせ、着させはずっと楽になります。もちろん女性がわれわれの服を扱う時も同じです。こんな理由は考えすぎでしょうか。