平均余命

今が好き♪

1999.10.2

我が国の厚生省が発表する資料のひとつに生命表がある。ある時期における各年齢の人々が今後何年生きられるか(平均余命)を男女別に死亡率、生存数などの生命関数によってまとめたものである。これには5年毎に発表する完全生命表と毎年発表する簡易生命表がある。完全生命表は国勢調査の正確なデータを使用する本来の生命表で、現在生存している最高齢者のデータも網羅される。前回は平成7年度版が発表された。簡易生命表は各年の推計人口と概算死亡数を基に簡略化して発表するもので対象年齢も99歳まで、100歳以上は生存者総数の平均値である。いずれも実際の人口に関係無く、10万人を単位とする統計データで、各年齢毎の死亡率、生存数、死亡数、定常人口(対象年齢以上の総人口)、平均余命が表わされている。

余談だが、生命表(Lifetable)を独、仏ではSterbetafeln、Tablesdemortaliteと呼び、死亡表という意味である。内容は同じながら、今後我々が何歳で死ぬかと言う考え方になっている。

さて、平成10年簡易生命表によれば、私の年齢、56歳男性のデータは以下の通りである。

死亡率0.681%
1年間に死亡した割合
生存数92,099人
昭和17年生まれの10万人の内、生存している人数。
意外にみんな生きている。
死亡数627人
この年になくなった昭和17年生まれの人。生存数×死亡率に あたる。
定常人口2,237,220人
昭和16年以前に出生した先輩達。各年齢とも出生10万人単位 で、生きている人達の総合計。
平均余命24.29年
将来、現在の死亡状況が変わらないとして私が今後生きら れる平均年数。定常人口を生存数で割った数。

従って、平均的に私は80.29歳までは生きていられる事になる。さらに、めでたく80歳に到達するとこの年齢の平均余命が7.68年あるから87.68歳まで大丈夫。87歳を越えれば更に4.76年の余命、さらに91歳ではあと3.86年‥‥‥。平均的人生は長寿なのである。
 平成7年の完全生命表によると、現在107歳のきんさん、ぎんさんの平均余命は1.79年、最長老115歳で1.28年ある。生きていさえすれば何歳まででも生きられる可能性が残っているのである。余命は生きてきた実績へのご褒美というべきか。

平均寿命とはこの生命表中の0歳児の平均余命を言い、平成10年は男77.16年、女84.01年とあり、両性とも日本が世界一だ。上の算出方法から平均寿命とは、現在生きている人たちの年齢の総平均と言うことでは無い。

平均寿命は0歳児の生存期間の期待値であり、すでに何年か生存していれば、そのときの年齢と平均余命の和は平均寿命を上回ることになる。0歳とは全くの生まれたての赤ちゃんを指し、余命は加齢に従って漸減するのは当然だが、面白い逆転現象がある。実は生後2、3週間の赤ちゃんの平均余命は男77.26年、女84.10年で最高なのである。これは現在でも出産時あるいは出生直後の死亡率が極端に高い(直後0/13~0.15%、1週間~1ヶ月後0.012~0.035%)ことが原因である。とにかく、元気な赤ちゃんを生むことが肝心だ。

また、同年生まれの半数が生存していると推定される年数を寿命中位数と言って、これも毎年発表される。平成10年統計では、男80.24歳、女86.85歳である。つまり同窓会を開くと、この年で同姓の同級生がちょうど半分なくなっている勘定になる。生命表にはいろいろな指標や統計値が隠されていて、年齢や人口に関する興味は尽きない。