横並び症候群

今が好き♪

1999.1.7

ずいぶん前からであるが、小学校の運動会では徒競走などで学童一人ひとりの着順をほとんど評価しない。一着でも特別のことはない。たかだか色違いのリボンを首にかけてもらう程度。だから、適当に走って後ろの方でゴールしても別にくやしくも恥ずかしくもない。頑張る必要はないのである。昔は賞品の差が歴然とあって、一等賞ほしさに一生懸命走ったものだが‥‥。

学芸会で「走れメロス」をみて驚いた。土曜日は生徒が、日曜日は父母が観る日になっていて、両日でキャストが違うのはいいとしよう。ところが、劇の中までダブル、トリプルキャストなのだ。メロスが走って舞台の袖に消え、また登場すると役者がなんと別の男の子になっている。幕が変わるたびにこれである。メロスの友人、王、町民など出演者のことごとくが入れ替わって行く。これには開いた口がふさがらない。生徒を平等に扱おうとしてか、あるいは親心を配慮してなのか、こんな演出を誰が考えたのだろう。おかげで、劇はメチャメチャだが、子供は全員出演、親はつかの間にしろ必ず自分の子が見られる仕組みだ。

劇や歌がうまかろうがあまり関係なし。全員がちょい役だから、演技の指導も簡単、子供達たちにも何の苦労もない。つまり努力も才能も不要、学校では一人ひとりの多様な能力を伸ばす事よりも、みんな仲良く横並びが大事らしい。

たとえば、算数・国語等試験の平均点が共に50点とういうクラスがあったとしよう。片方は生徒の全員がほぼ同じ50点前後での平均点50のクラス、もう一方は10点から95点まで、いろいろな生徒がいての平均50点のクラス。さて、ここで、この生徒達に我が国の将来を託すとしたら、どちらのクラスの卒業生を選びますか?

W杯サッカーの岡田監督もヤクルトの野村監督も選手に関し同じ事を言っていました。「ヤング達にガッツが足りないのは彼らのせいではなく、社会の責任だ。」と‥‥。子供を導くのは難しい。